三崎教会 クリスマス燭火礼拝 12/24

あかり クリスマス絵本
 この絵本、あかりの主人公は、生まれたばかりの女の子と、がっしりとした太い蝋燭です。丁度、この四本の蝋燭の一本のようです。このお話の始めの頃はまだ電気が無く、蝋燭が電気の代わりの灯りでした。
 蝋燭の炎が初めて照らし出したのは、生まれたばかりの女の赤ちゃんでした。その後も蝋燭は、その女の子を照らし続けました。一歳になった時、だんだん大きくなって部屋で遊んでいる時、蝋燭は女の子を見守り続けました。
 ある嵐の夜、雷がごろごろと鳴って、雨は窓を叩き付けて、強い風で家が揺れました。女の子は怖くて全然、眠れませんでした。そこであの蝋燭に火を点しました。すると外は嵐でしたが、部屋の中では、あの蝋燭が優しい灯りを点し、嵐が恐ろしくて一人で震えていた女の子を温かく包んでくれました。
 女の子は更に大きくなりました。蝋燭は幸せな子供時代を照らす灯りから、何時しか、辛い時、涙する時に寄り添う、灯りになっていました。暗闇が怖い夜、喧嘩して誰の顔も見たくない夜、ひとりぼっちで寂しい夜、好きな人が出来た時、生きるって何だろうと考えた時、そんなときに、蝋燭の灯りは、温かい光で、女の子に寄り添って話を聞いてくれました。
 女の子は大人になり、結婚することになり、家を離れる日が来ました。女の子は、思い出の沢山詰まった、あの蝋燭をそっと、荷物の鞄の中に入れました。結婚した女の子は男の子を生んで、その蝋燭の灯りの中で、男の子をあやし、絵本を読み聞かせ、大好きなリンゴを剥いてあげました。
 女の子の家が新しくなった頃には、電気が引かれ、天井に明々と電灯がともり、蝋燭に火を点けることはもう無くなってしまいました。女の子の蝋燭も木箱に入れられ、棚の奥の奥に仕舞われました。蝋燭は忘れ去られて、入れられた木箱から出される事はもう二度と無いだろうと思われました。
 何十年過ぎたのでしょうか。ある日、棚の奥の奥にあった木箱が突然開けられました。そして、あの蝋燭に再び、火が点されました。蝋燭の灯りは一体何を照らしたでしょうか。蝋燭の灯りは、一人のお婆さんの顔を照らしていました。そのお婆さんは蝋燭に言いました。私が赤ちゃんだった時から、怖かった夜も、悲しかった夜も、あなたの灯りに守られて、どんなに心強かったでしょう。暗闇をこんなに優しく照らす灯りを、私は他に知らない、そのお婆さんは言いました。そのお婆さんとは、あの女の子だったのです。
 皆さんにとって、暗闇を照らし、悲しみの夜に励ましてくれる灯りとは何でしょうか。家族や友達、仕事もその一つかもしれません。灯りがあれば、暗闇の中でも安心出来ます。灯りは皆さんを導き、勇気付け、助けてくれます。皆さん一人一人、頼りにする灯りは違っていて、何を灯りにするかは皆さん一人一人が決めています。
 聖書では、クリスマスに生まれたイエス・キリストが暗闇を照らす灯りだと言っています。イエス・キリストが灯りとなって、私達を助けてくれると言います。これはギデオン協会の聖書です。教会やホテルに置いてあって、誰でも自由に持ち帰って良い聖書です。表紙を開けると、楽しい時はここを読みなさいとか、どうにもならない位、辛い時、悲しい時はここを読みなさいとか、書いてあります。聖書の中には、イエス・キリストが点した、人間の心を温かくしてくれる灯りがあるということになります。
 クリスマスはイエス・キリストの誕生をお祝いする日です。そのイエス・キリストが一人でも多くの人たちの灯りとなって、イエス・キリストの灯りを頼りにした人達を助けてくれますように。イエス様の御名前によって祈ります。